2025/10/15 23:17

当店2017年の立ち上げ初期からの定番で、多くのお客様から好評を頂いているパプアニューギニアの生産者コルブランコーヒー。
(近年では評価が上がっているようで採用するロースターも多く、各所で見かける機会も多くなったという話もあります)
今季の当店取扱いのコルブランコーヒーは【バロイダエステイト】のナチュラルです。
いままで杉綾珈琲ではコルブラン・バロイダ・ボカと3つの農園を使ってきまして、
それら区画ごとに個性がありお客様にも楽しんでいただけていることと思います。
店主個人としては上記3つの農園の中で今回のバロイダエステイトは特に思い入れがあり、
かつ特筆すべきコーヒーだと考えておりました。
…「汝、臆して沈黙することなかれ。
愛は、想いは、大いに口にすべし・言葉にすべし・伝えるべし」…
(↑杉綾式名言!?)
店主はそう強く思う次第ゆえ、
拙い文章ではございますがバロイダに対する思いのたけを以下詳述してみましょう。
…さて、
ボカ、コルブランはコルブランコーヒーの特徴のひとつだと思われる甘さ・濃縮感・華やかさに、バランス良く洗練された印象。
どの焙煎度でもおいしく、誰が飲んでも安心な完成度が高いコーヒーと言えると思いますが、
バロイダは甘さ濃さ華やかさに加えて重量感、
微細なフレーバーというよりは全体的にユニークな印象が顕著、
キャラクターが非常に「立っている」のが魅力なコーヒー。
このあたりは標高を始めとしたテロワールだけでなく、単一品種でロットを作るのかそれとも複数品種の配合で作るのかとか、
色々絡んでくるがゆえの個性なのかな、と思ったりもしていますが….
そんなバロイダエステイトは、コルブランファミリーの初代ベン・コルブランがオーストラリアから移住してきた際に先住民のタローから土地を譲り受けて始まり、
そしてその農園の中心に位置する巨大な石にはバロイダの精霊が宿ると言われ、過去に幾度となく起きた洪水にも流されず不変不動だったというエピソードがあるようです。
地上最後の未開の楽園、世界で最も言語が豊富な国であり、独自のシャーマニズムも現存するというパプアニューギニア、
バロイダの伝説もさもありなん。
テロアールとコルブランファミリーの仕事、
そして「バロイダの聖なる不動石」(杉綾式表現)の霊力がコーヒーを魅力あるものたらしめてるのかもしれません。
………。
豆のほうは見た目からしてかなりべったべたのジュクジュクなナチュラル、
液体のほうもちろん見た目を裏切らないナチュラルならではの果実味。
このナチュラル香の強度はアナエロビックや中米ファンキーナチュラルに匹敵するように思います。
(アナエロビックやファンキーナチュラルについては本稿では長くなるので割愛します)
(以前当店でお出ししたニカラグア、フィンカス・ミエリッヒのリモンシーヨ・ファンキーナチュラルを記憶されてるかたなら納得される事でしょう)
風味だけでなく豆の外見や焙煎時の挙動、煙の香り、焙煎後の豆の香りなど、扱っていて類似する点が多い。
インフューズドでもアナエロビックでもファーメンテーションものでもなく、
オーソドックスなナチュラルでこのインパクト。
当店では基本的にフレイバーと質感と甘さが最も良く出ていて、かつ酸のバランスがとれている事が多い中煎りが本命かつ推奨な事が多く今回のロットも同様なのですが、
深くローストしてなおここまで個性が備わっているという意味では貴重な存在なので、
深煎りもとくに自信を持っておすすめできます。
どちらも飲んで味わっていただきたい。
また、系列のボカは現地の紛争か何かで畑が荒廃してしまい機能していないようなので、そういった意味でも貴重な豆です。
……能書きを垂れてしまいましたが、
味もストーリーもエキゾチックなバロイダエステイト・ナチュラル。
良い意味でのクセのあるユニークなコーヒー、
ぜひお楽しみ下さい!
2025.10/15投稿
※文中に出現する概念・用語・思想などのうち当店オリジナルなものにつきましては転載・模倣などはご遠慮下さい。参考にして営業やSNS活動に取り入れていただく際は元ネタ・出典が当店であることを明示して下さると店主、光栄です/笑

(生豆。ベッタリとナチュラル、生の段階でビンビン来ます)